最近、自民党の石破茂さんが9月に予定される総裁選に出馬するのではないかと話題になっていますよね。でも、石破さんって世論調査で「次の首相」に選ばれることが多いのに、なぜ総理になれなかったんでしょうか?
今回は、石破さんが総理になれない理由と可能性について、いろいろな視点から探っていきます。
前提:総理候補の石破茂ってどんな人?
石破茂さんは1957年生まれ、鳥取県出身の政治家です。
慶應義塾大学法学部を卒業後、1979年に三井銀行に入行。その後、1986年に衆議院議員として初当選しました。これまでに防衛大臣や農林水産大臣などを歴任し、現在は自由民主党所属の議員として活動しています。石破さんは政策通として知られ、特に国防問題に詳しいです。その政策立案能力と透明性のある政治姿勢で、国民から高い支持を得ています。
【参照:石破茂(いしばしげる)の略歴】
石破さんは世論調査で常に「次の首相」に選ばれるほど国民からの支持が高い一方で、党内ではなぜか支持が広がらない現状が続いています。
岸田内閣の支持率は低迷しており、2021年10月の内閣発足以降で最も低い状態にあります。最新のNHK世論調査では内閣支持率は21%にまで下がり、不支持率は60%に上昇しています。
一方、読売新聞の世論調査では次の自民党総裁にふさわしい政治家として石破茂氏が22%でトップに立っています。この状況を踏まえると、石破氏が次の総裁選で総理大臣になる可能性も現実味を帯びてきています。
これほど高い支持を得ているのに、なぜ石破茂さんは総理になれないのでしょうか?その理由をいくつかの視点から掘り下げていきます。
石破茂の特徴:国民に人気でも党内で嫌われる正論発言
石破さんは正論スタンスで知られていますが、その正論が党内での支持を失う原因ともなっています。例えば、森友・加計学園問題などにおいて、石破さんは時の首相への批判を辞さない姿勢を見せました。このような姿勢は国民からの評価を得る一方で、党内の支持を失う原因となっています。
過去のインタビューや発言が党内で批判を浴びた事例がいくつかあります。特に、党の内情や政策に対する率直な意見が党内の対立を生んでいます。2023年12月には、自民党派閥のパーティー券疑惑への岸田総理の対応について
国民の理解や共感を得られる振る舞いが十分できているとは思えない
と批判し、党内で物議を醸しました。石破さんの発言は国民には支持されますが、党内からは「後ろから鉄砲を撃つ」ような行為とみなされ、反発を招いています。
【参照:石破茂氏、政権へ〝口撃〟加速 安倍派きょうにも強制捜査 自民パーティー券疑惑 党内から批判「味方を後ろから撃つな」】
正論の代償:石破茂の発言が招く総理への政治的障壁
脆弱な基盤と派閥政治の壁
自民党内では派閥というグループが存在していて、各派閥が影響力を持っています。派閥の支持を得ることで、総裁選において有利になることが多いんです。
石破さんは過去に「石破派」という派閥を率いていましたが、この派閥は解散し、現在は活動を縮小しています。総裁選への出馬には20人の推薦人が必要ですが、石破さんはこれを確保するのに苦労しています。8月18日の『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ)に出演した際には「ほぼ目途はつきつつある」としながらも「やはり確認をきちんとしなければいけない」と慎重な姿勢を見せていました。
自民党の総裁選は「党員票」と「国会議員票」で争われますが、過去の総裁選では国会議員票を多く獲得した候補が勝利する傾向にあります。これまでも石破さんは党員票では善戦する一方、国会議員票では敗北してきました。
国会議員票が重要なのは、国会議員が自民党内での重要な決定権を持っているためです。国会議員の支持を得ることで、総裁選での勝利だけでなく、その後の政権運営においてもスムーズに物事を進めることができます。
〈党員票と国会議員票の違い〉
- 党員票:一般の自民党員(地域の支部などで活動する国会議員ではない人々)が投票します。彼らは石破さんの政策や人柄に対して直接的な好感や信頼を持つことが多く、特に地方での人気が高いです。メディアでの露出や政策の透明性が支持を集める要因です。
- 国会議員票:自民党所属の国会議員が投票します。彼らは石破さんの政策や人柄よりも、党内での人間関係や派閥の影響を重視することが多いです。石破さんは過去に派閥を率いていましたが、現在は解散しており、強力な後ろ盾が少ないため、支持が得られにくいです。
この違いが、石破さんに対する党員票での支持と国会議員票での支持にギャップを生んでいるのです。つまり自民党内の有力派閥が石破さんを支持しないため、議員票が伸び悩んでいるのです。
【参照:石破氏、総裁選立候補の意向 「ポスト岸田」の動き活発―自民】
保守派からの批判
石破さんは保守派から批判を受けることが多いです。
保守派とは、伝統的な価値観や政策を重視する政治家や支持者のグループで、国家の防衛力強化や伝統的な社会構造の維持、経済の自由化を支持します。
例えば、石破茂さんは防衛政策において経済や外交を含む総合的な安全保障と国際協力を重視しています。これに対し、保守派の一部は憲法改正や防衛予算増強、強硬な対外姿勢など迅速で直接的な手段を好む傾向があります。
防衛費増額の前に財源の明確化が必要だ
保守派の代表的な政治家は、安倍晋三さん、麻生太郎さん、高市早苗さんなどです。岸田総理は伝統的な保守派には完全には属さないものの、自民党内での派閥の支持やバランスの取れた政策姿勢、人柄の良さを活かして調整役を果たしながら、総理大臣の地位に就いています。
特に、慰安婦問題や歴史認識に関する発言が保守派の反発を招いています。
例えば、石破さんが
韓国で納得を得るまで謝罪するべきだ
と発言したとされるインタビューが批判を浴びました。石破さんはこの発言を否定しましたが、保守派からの評価は大きく低下しました。
保守派は自民党内で大きな影響力を持っています。石破さんが保守派からの支持を得られないことが、彼が総理になれない要因の一つです。保守派は政策や歴史認識に厳格な基準を持っており、石破さんの立場がこれに合わないと判断されると、支持を失うことになります。
【参照:韓国紙、日韓合意で石破氏「納得得るまで謝罪」 本人否定“言ってない”】
結論:石破茂の総理への道は派閥政治と保守派の壁に阻まれる
石破茂さんは正論を言うスタンスで国民の支持を集めていますが、政界で上に登りつめるためには派閥政治や保守派という強大な勢力の壁を乗り越える必要があります。これは、国民に支持される人がトップになるべきなのに、そうならないシステムの矛盾も示しています。このような中で、現時点では石破茂さんが総理になるのは非常に険しい道のりです。
まとめ:石破茂が総理になれない理由と可能性
最後になりますが、以下にまとめを記載します。
これらの課題を克服し、党内の支持を得ることができれば、石破茂さんが総理になる可能性は十分にあるでしょう。しかし、現時点では石破茂さんが総理になるのは非常に険しい道のりです。総裁選での石破茂さんの動向には注目が集まっており、彼の政策や人柄がどのように評価されるかが鍵となります。
ということで、今回は石破茂さんがなぜ総理になれないのかについて情報収集をして記事を書いてみました。
ちなみに他にも「北朝鮮によるごみ風船が日本に飛来する可能性」を詳しく解説した記事もありますので、ぜひご覧になってください。