「職務経歴書に何を書けば良いか分からない…」と悩んではいませんか?
せっかく魅力的な求人に巡り会えたのに、書類で落とされてしまっては悔いが残りますよね。
実は、採用側が職務経歴書で見ているのは、あなたの経歴だけではないのです。

おいおい、どうせ自己PRが大事とか言うんだろ

転職サイトのサンプルをそのまま使っているので大丈夫です
先にお伝えしておくと、自己PRという項目は不要です。
なぜなら、項目そのものが採用側視点を踏まえておらず、本質的ではないためです。
私自身、大手金融機関からITベンチャーに転職し、現在も人事として働いていますが、職務経歴書について誤解している方が多い印象です。
本記事では、人事が会いたくなる職務経歴書の作り方をテンプレ付きで紹介します。
最後まで読んで頂ければ、採用側の視点を理解することで、書類通過率が向上するだけでなく、面接も優位に進められるようになります。
前提:中途採用の書類選考について
そもそも、転職市場における書類選考の通過率は30%前後と言われています。
「7割が門前払いを受ける」という敷居の高さが、転職希望者の精神力を消耗させているのです。
しかし、この通過率はあくまで平均値であり、工夫次第で改善できます。
ちなみに、選考書類と呼ばれるものは、一般的に「履歴書」と「職務経歴書」を指します。
履歴書は形式的なもので、工夫の余地はほとんどないと考えて良いです。
あなたにできるのは、転職という厳しいマーケットを勝ち進むための強い職務経歴書を作成することです。
今回紹介する内容は、職歴が少なくとも2〜3年あり、業務を通じて何かしら課題解決した経験のある方に向いています。
そうでなければ、この先の面接選考も厳しくなるため、まずは現職で結果を残すことをおすすめします。
小さいことでも良いので、主体的に課題を発見し、解決するアクションが大切です。
本質を捉えた職務経歴書とは
結論としては、以下のイメージで職務経歴書を作成します。

ポイントは右側の記載方法になります。
詳しく見ていきましょう。
採用側が書類選考する目的を理解する
「書類選考なんてただの足切りだ!」
これも間違いではないです。
企業は、いち早く事業課題を解決するため、中途採用で即戦力人材を必要としています。(即戦力の解説はこちら)
そのように考えれば、最短で進めるために、書類選考の段階でなるべく絞り込みたい気持ちは理解できますよね。
しかし、それは目的というよりも結果なのです。
では、何をもって足切りをしているのか。
答えは「企業が求めている人材かどうか」であり、それを判断することが書類選考の目的です。
求人票に
- MUST(必須)
- WANT(尚可)
という記載があれば、それが判断基準です。
採用側は、あなたの職務経歴書から「どのような経験をしてきたか」読み取り、求める人材像と照らし合わせます。
絞り込みという意味では他の候補者との横並びも見ますが、基準に達していなければ誰も採用されないということは理解しておきましょう。
職務経歴の中で再現可能性をアピールする
職務経歴として、経験した企業・部署・役職の羅列では、情報として不十分です。
誰もが知る有名企業や、社内では花形部署であっても、名称だけでは「どのような経験をしてきたか」社外の人には理解できません。
そして「結局のところ何が出来るの?」と採用側を困らせてしまいます。
対応策として、職務経歴に以下3点を追記します。
- 所属部署のミッションと社内における位置づけ
- 部署内における自身の職務領域
- 担当したプロジェクト(目標・課題・行動・障壁・成果)
職務経歴書に反映させると、以下のようになります。

- 企業として何を目指しているのか(経営ビジョン)
- 所属する部署はどのようなミッションのもと存在しているのか
- その中で、自身は何を担当して、どのように行動してきたのか
これらが出揃って、初めて「どのような経験をしてきたか」分かるのです。
なぜ担当したプロジェクトをわざわざエピソード形式で書くのか。
それは、「再現可能性」をアピールするためです。
前職で大きな成果を挙げてきた人でも、結局のところ「自社でも同じように活躍できるのか」採用側は知りたいのです。
- 高い目標を掲げる
- 課題を分析・抽出する
- 果敢に行動する
- 自ら工夫しながら障壁を乗り越える
- 成果を挙げる
この一連のサイクルを回すことは、全ての企業で求められます。

経験はマッチしているし、成果も挙げている。
それが当社でも再現可能な能力に基づいている!
書類選考は、このような人材をマーキングする役割もあるのです。
エピソードで裏付ける
冒頭にも述べましたが、はっきり言って「自己PR」は書いても信用してもらえません。

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これらの情報は、定性的かつ主観に基づくものであるため、選考の判断材料にはなりません。
「何となくスゴそうだから会ってみよう」という曖昧な評価をする企業は少ないです。
先程も述べたように、採用側が知りたいのは「どのような経験をしてきたか」です。
アピールしたい強みがあるのなら、それをエピソードに盛り込むのです。
- 目標
- 課題
- 行動
- 障壁
- 成果
どこかにあなたの強みが発揮されたポイントがあるはずです。
事実はそのままに、少しだけそれを強調して書くことで、味のあるオリジナルエピソードになるでしょう。
枚数は気にしない
企業から指定があれば従うべきですが、無理に1~2ページに収めようとしなくても大丈夫です。
むしろ、これまで述べた要素を盛り込むと、3ページ以上は必要になるでしょう。
但し、論文のようになると読み手が疲れてしまうので、せいぜい4ページほどが限度かと思います。
アウトプットとして磨き上げる
あなたが華やかな経歴の持ち主でも、ビジネス文書として質が低いと判断されては、採用側も「優秀そうだけど、本当かな?」と不安になります。
本来的ではない部分でマイナス評価を受けてしまっては損ですよね。
最低限、誤字脱字がないことは提出前に必ず確認しましょう。
加えて、読み手にストレスを与えない文書を意識することで、あなたの魅力はより伝わりやすくなります。
ちなみに、部署名等やむを得ない場合を除いて社内用語は厳禁です。
作成の視点は「他社の人間でも一読して理解可能なレベル」まで噛み砕いて、簡潔に記載することです。

面接以外の場では、この職務経歴書だけがあなたの魅力を語ってくれるので、自分の分身と呼べるくらいにアウトプットとして磨いておきましょう。
最後に:面接対策にも繋がる
本記事では、人事が会いたくなる職務経歴書の作り方について紹介しました。
実は、このように担当プロジェクトをエピソード形式で記載することは、面接対策にも繋がります。
職務経歴書を作成した時点でネタの棚卸しは完了しており、面接直前に焦ってノートに書きだすような作業は不要になります。
また、面接本番でもメリットがあります。
基本的には面接官の手元にも職務経歴書があるため「この話をしているのかな?」と相手の理解を促す効果が期待できます。
親切な面接官だと「このエピソードについて詳しく教えて欲しい」という聞き方をしてくれて、非常に面接が進めやすくなります。
面接対策の詳細については別記事で解説しているので、是非ご覧下さい。(基本編/応用編)
- 採用側が知りたいのは「どのような経験をしてきたか」と「自社でも再現可能かどうか」
- 「自己PR」という書き方では読まれないので、アピールポイントがあればエピソードに盛り込む
- 職務経歴書はビジネス文書であり、面接以外の場では自分の魅力を代弁する分身だと認識する