【視座・観点】上司のやり方に納得できない時、まず考えるべきこと

マインドセット

会社員である以上、必ず上司っていうのがいますよね。

私は人事課長という役職ですが、上司には人事部長がいて、さらにその上は担当役員で、生態系のトップに社長、という位置関係です。

で、その上司は、皆さんに色々と指示をしてくると思うのですが、

どうしても納得できない時ってありますよね?!

嫌な上司
こんな感じに見える

そんな時、

こんなヤツとはもうやってられンンンッ!

怒れる部下

と、嫌ってしまう前に、ひと呼吸…。

ここで人間関係を壊してしまうと、余計に仕事を進めるのが難しくなりますし、関係修復に気疲れすることでしょう。

あ〜、何かの間違いだったらいいのにな〜。

って思いませんか?

はい。実はそうなんじゃないかというのが、本日のテーマです。

あなたのお悩みも、ちょっとした行き違いかも?

WhatではなくWhyに目を向ける

結論を言うと、上司の目的は何だろうと、考えてみてください

何を言ったか(What)ではなく、なぜ言ったか(Why)に目を向けるということです。

その理由は、上司と自分では置かれている状況、つまり前提が異なるという"当たり前のこと"を、忙しい中でついつい忘れてしまうからです。

言葉として発せられるWhatではなく、心の中のWhyが大事

先日、友人のケースでこういうのがありました。

その友人は人材紹介会社の営業担当で、日々"転職先を探している会社員(候補者)"と向き合っています。

ある日、とある候補者から、(友人の持っている)求人案件に応募したいと連絡がありました。

ところが、その方…実は上司が担当する複数の求人で既に最終選考まで進んでいたのです。

そこで、念のため断っておこうと、友人は上司に「応募したいと言っているので、エントリーしますよ?」と言ったら、「それは駄目、こっち(上司の求人案件)で進める」とバッサリだったそうで。

当然、友人は「あの人(上司)、自分の営業成績のことしか考えてない!候補者の希望を無視するなんてプロじゃない!」と憤っていました。

一方で、これまでのエピソード等を聞いていると、そんなことをしそうな人には思えず、友人も心の底では信じたくないという様子でした。

そこで私は、「なぜ上司はそんなことを言ったんだろう?」と疑問を投げかけてみました。

その上司は、チームリーダーであり、もちろん個人の成績も大事だが、最終的にはチーム業績で評価される。メンバーの成功をお膳立てするのも、立派な仕事である。

また、もし意図的に"候補者のためにならない判断"をした結果、苦情に繋がる場合もあるし、そうなると会社の信頼を毀損する可能性も。

このように「なぜ?」と考えを巡らせると、別の目的があるのではないか…と気づく場合があります。

では、ここからどのように解決へ導いていくのか、続きをみていきましょう。

鳥の目・虫の目

鳥の目虫の目というのを、聞いたことはありますか?

鳥のようにズームアウトして物事を大局的に見る視点と、虫のようにズームインして細部まで見る視点のことを指します。前者を経営視点、後者を現場視点と言い換えることもあります。

ここであえて疑ってみてほしいのが、上司は鳥の目、メンバーである自分は虫の目で考えているんじゃないか、ということです。

ちなみに、「虫の目では視座が低い」という意味ではありません。

現場で得た一次情報、それが具体的であればあるほど価値があります。どちらもバランス良く持っていることが大切です。

鳥の目・虫の目のイメージ

前項でこのように言いました。

上司と自分では置かれている状況、つまり前提が異なるという"当たり前のこと"を、忙しい中でついつい忘れてしまうからです。

まず、上司とメンバーでは、役割・責任が異なります

チームリーダーであるため、日々出席するミーティングの種類は異なりますし、会話やメールの相手も、立場が上の人達だったりします。例外もありますが。

また、自分以外のメンバーからも情報が入ってくるため、総合的に物事を判断しようとします。

このような前提から、上司は自分よりも(優れているとか偉いとかではなく)高い視点から広く物事を見ているのです。

結局のところ、自分も上司も同じチームですし、多くの場合は抽象度の違いだけではないかというのが、私の考えです。

見ているモノの抽象度を垂直方向にグーンと上げていくと、実は同じことを言っているだけだったり、途中で枝分かれしていたけど元は同じだったりします。

会社組織におけるポジションと思考の抽象度の関係性
会社組織におけるポジションと思考の抽象度の関係性

先程の事例に戻り、上司が考えていることを想像してみましょう。

  1. 候補者は、人気で競争率の高い求人案件にも関わらず、最終面接まで残っている。まずは目の前の戦に集中するのが得策である
  2. 候補者は優柔不断な性格で、ようやく自分の意思決定に自信を持てたところ。選択肢を増やせば迷いが生じるため、適切なタイミングを見計らうべし
  3. 候補者は非常に優秀である。このまま最終面接を通過して転職が決まれば、他の候補者が(友人の持っている)求人案件にチャレンジできるだろう。

上記のような仮説を持った上で、友人は上司に不満をぶつけるのではなく、どのような考えを持っているのか認識を合わせるようにコミュニケーションしました。

結論としては、自分の営業成績を優先したり候補者の希望を無視する意図はなく、仮説1・2に近い考えを持っていたことが分かりました。

そして、上司はオファー獲得できるという確信を持ったタイミングで、候補者に背景共有し、最終的には自ら選択できるようにしたのだとか。なるべく後悔を残さないようにという気配りなんでしょうね。

普段からアラインしておく

アラインというのは、同じ方向を向いているという意味です。

普段から上司と仕事の目的が揃っている状態にしておくと、コミュニケーションの中でも言葉の裏側に隠れた意図がよく見えるようになります。

何だか健やかに会社生活を送れそうですね。

アラインしていれば、少ないコミュニケーションで仕事を進められますが、具体的に「こうなったらこうする」といった認識を合わせておくのも、行き違いを防ぐのに効果的です。

今回の事例でいうと、以下のようになります。

候補者より"担当者またぎ"のエントリー希望があった際には、担当者間で以下を確認する

  1. 既にエントリーしている求人案件の進捗状況はどうか
  2. 確度(オファー受諾可能性)はどの程度か
  3. 候補者の性格・志向性はどうか
  4. 候補者はなぜその求人へのエントリーを希望したか
  5. 1-4踏まえ、候補者にとって本質的に価値のある意思決定は何か

5番については、今回紹介した「WhatではなくWhyに目を向ける」を、候補者に対して応用したパターンです。

候補者に言われた通りに対応するのではなく、「それが本当に候補者のためになるのか?」と、その上司は見抜いていたのかもしれません。

ここまで読んでいただいても上司に納得できない場合は、異動希望を出すか、転職しましょう!

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