
転職を考えているけど、別にやりたいことなんてないしな~
そのような状況であれば、求人票をスクロールする指を一度止めた方が良いです。
コレをやりたいから転職する!
という明確なビジョンがあれば悩むことはないのですが、
何となく今のままじゃダメだ
というだけで選考を受け始めるのは危険です。
しかし、多くの方はこのような漠然とした不安から動き出しているので、悲観する必要はありません。
- 明確なビジョンがない
- 応募先を選ぶ基準が分からない
- 転職理由や志望動機に自信が持てない
こういった悩みは、誰かに相談しても「自分で考えることだ」と言われがちですよね。
とても大事なことなのに、学校では教えてくれないし、会社でこんなことを聞いたら「いいから仕事しろ」と叱られるでしょう。
本記事では、大手からベンチャーに転職し、現在も人事として働いている立場から、転職軸の策定プロセスを体系化しています。
ここで取り上げる転職軸というのは、単純に業界や年収という切り口ではなく、自分自身のエネルギーの源泉や方向性にフォーカスしています。
なぜなら、そのような軸で転職先を選ぶことで、入社後も高いモチベーションを維持できるし、選考においても面接官の共感を得られます。
私自身も「初めから知っていればこんなに苦労しなかったな…」と感じる内容を記事にしているので、是非ご覧下さい。
私の失敗談(読み飛ばしても結構です)
私の転職活動における一番の反省は、いきなり求人票に飛びついて「何となくイケてそうな会社だ」と、イメージだけで片っ端から応募したことです。
当初の転職理由がこちらです。

自分の市場価値を高めたい!
今のうちに成長産業のIT業界に飛び込みたい!
就活学生のようにキラキラした目で熱弁しました。
するとどうでしょう。
何社か面接を受けましたが、すべて一次で落ちました。(笑)
このままでは自信を喪失しかねず、負の連鎖を断ち切るため、一時的に新規の応募を控えることにしました。
そして、業務外の時間は全て自分のキャリアと向き合うために使いました。
現状に忙殺される日々を過ごしてきたため、頭が凝り固まっていることを痛感させられました。
毎日のように思考を巡らせる中で、徐々に洗練され、自分の志向性を3つの視点から整理したところ、モヤモヤしていた気持ちが晴れていくのを感じました。
今後のキャリアの歩み方について、初めて自分自身に腹落ちさせることが出来たという感覚です。
それを軸に応募先を選定し、新規応募を再開したところ、次々と面接を通過しました。
面接では自信を持って話が出来るし、内容に一貫性があるため、面接官にも刺さっている手応えがありました。
また、以前チャレンジした応募先については、知名度はあるものの、自分の転職軸にはマッチしない企業であることにも気づきました。
前置きが長くなりましたが、今回は転職活動を円滑に進めるカギとなる「志向性」を整理するために、3つの質問を用意しました。
以下の手順で志向性を整理すると、転職軸が見つかり、更に転職理由・志望動機も出来上がるので、面接対策にもなります。
解説付きで紹介していきますので、是非ご活用下さい。
志向性を整理する3つの質問
転職を通じて解決したい「あなた自身の課題」は何ですか?
転職は課題解決の手段です。
理想と現実のギャップ(=課題)について、環境を変えることで解決しようとしているはずです。
お気づきかもしれませんが、まさにそのギャップを埋めることが転職理由になります。
「何となく転職したい」という抽象的な理由なのであれば、それを具体化してみましょう。
- 今の職場に足りないものは何か
- ストレスの原因は何か
等々…
その際、もし「これって転職しなくても解決出来るな」と感じる場合は、社内異動や業務調整について上司に諮ることをおすすめします。
一番の注意点ですが、あなたの抱える課題を解決出来る会社でなければ、転職する意味はありません。
課題解決の視点を忘れて「ここは話題のベンチャーで今後も伸びそうだ」「ここで働けたら周りに自慢出来そうだ」という、イメージだけで転職先を選んでしまうと、結局また同じ事態に直面する可能性が高いです。
そうならぬよう、まずは自分の中にあるモヤモヤを具体化してみましょう。
課題が明確になったら、それを解決出来る会社を探し、面接に呼ばれた時は「だから私は転職するのです!」と自信を持って伝えましょう。
ちなみに、面接官が「なぜ転職?」としつこく聞いてくるのは、あなたの課題を自社で解決出来るかどうかを判断したいためです。
もしあなたが転職をしてから「思っていたのと違う」「前職の方が良かった」と不満を感じてすぐに退職してしまえば、会社にとっても損失です。
逆に、面接官を「それならウチで解決出来るよ!」と納得させれば、面接通過率はグッと上がります。
- 現状の課題を明確化する
- 転職によって解決可能な課題であれば、それが転職理由になる
あなたは将来どのようになりたいですか?(何をやりたいかではなく)
自分が本当にやりたいことは何か
この問いは、もはや「なぜ生まれてきたか」というレベルに難解です。
それよりも「どのようになりたいか」と考えた方がイメージしやすいです。
あるいは「どのような状態が幸せか」でも良いです。

「なりたい姿」をイメージすることが出来たら、それがあなたにとっての北極星です。
それに近づく手段として、転職先を選ぶことが重要です。
- 北極星
- 会社に依存しないで自由に生きたい
- 目標
- 得意としている人事領域を、どの会社でも通用するくらい研鑽する
- イメージは特化型コンサルタントとして独立可能な水準
- 得意としている人事領域を、どの会社でも通用するくらい研鑽する
- 課題
- 現職の大手企業は3年ごとにジョブローテがあるため、専門領域を伸ばせる環境ではない
- 解決策
- 目標に対して「今の自分には何が足りないか」を認識し、その経験・スキルを獲得できそうな企業(募集ポジション)があれば転職を試みる
- きっと、新しい職場でも辛いことはあります。
- けれど、必ずその先にあなたの求める幸せがあります。
- だからこそ、頑張り続けることが出来ます。
「なりたい姿」の実現に向けて、現時点で何が出来ていないのか(足りないのか)を明確にしましょう。
それが志望動機の下地になります。
しかし、まだ完成ではありません。
実際に転職先を選定し、面接官を納得させる志望動機を作るために、3つ目の質問を見ていきます。
- ビジョンを明確化するプロセスでは「何をしたいか」よりも「どのようになりたいか」の方がイメージしやすい
- 転職をすることで「なりたい姿」に近づくのであれば、それが志望動機になる
あなたが解決したい「世の中の課題」は何ですか?
「何か急にガチなやつきたな…」と思われるかもしれませんが、課題解決の手段として「転職」を選択したからには、避けて通れないものと考えています。
これから詳しく解説していきます。
「世の中の課題」とは、小さな頃から感じていることでも、社会人生活の中で経験したことでも良いので、なるべく具体的にイメージします。
- もっと●●だったら便利なのに
- ●●が非効率的で何とかならないか
等々…
イメージ出来たら、それを解決しようとしている会社を探します。
手掛かりは、会社ホームページに掲載されている以下3点です。
- ミッション(使命・存在意義)
- ビジョン(中長期目標)
- バリュー(価値観)
会社という組織は、同じ志を持った個の集合体です。
組織の存在意義(ミッション)や目指すもの(ビジョン)、大事にしている価値観(バリュー)に共感していなければ、その中で働くことは苦になるでしょう。
自社の方向性やプロダクト・サービスを信じていなければ、投入感を持って働くことは難しいと思います。
また、これらには経営者の純粋かつ強い想いが込められています。
特にベンチャーの採用においては、ミッション・ビジョンを理解した上でバリューを体現出来る人材であることが重要視される傾向です。
反対に、自分自身が共感していれば、働く上で大きなモチベーションになるでしょう。
②の内容と統合すれば「『将来なりたい姿(北極星)』を目指しながら『自分が世の中に感じている課題』を御社で解決したい』という志望動機が完成します。
中長期的な視点も踏まえて筋が通っており、自分自身にとっても納得感があるはずです。
面接では「だから私は御社で働きたいのです!」とエピソードも織り交ぜながら堂々と話しましょう。

私の失敗談ですが、志望動機が「自己成長したい!」というだけでは、会社が採用するメリットはないんですよね。
成長意欲は高い方が良いですが、これでは「会社に成長させてもらう」という環境依存的な理由に捉えられてしまいます。
第二新卒ならともかく、中途採用の場合は即戦力が前提なので、人材育成という観点は無いと考える方がギャップは少ないでしょう。
- ミッション・ビジョン・バリューへの共感は働くモチベーションに繋がる
- 自分と同じ課題意識を持つ会社であれば、それが志望動機になる
以上、3つの質問を通じて志向性を整理したことで、転職軸が見えてきたかと思います。
また、このプロセスで生まれた「転職理由」「志望動機」であれば、あなたのベクトルがしっかりと会社に向いているので、その想いは面接官にも伝わるはずです。
この3点を実現できる転職先を選ぶ
- 「自分自身の課題」を解決する
- 幸せ・なりたい姿(北極星)に向かって仕事をする
- 同志と共に「世の中の課題」を解決する
転職軸が完成したら、いよいよ選考にチャレンジですね。
現業が忙しい中でも転職を成功させるには、本当にやるべきことだけに集中する必要があります。
そのために、転職エージェントの活用視点をこちらの記事で解説しているので、是非ご覧下さい。